スープの冷めない距離とは、スープを作って運んでいっても適切な温度で食べることができる距離、すなわち、スープの出前の限界距離をいう。要するに「近所」という意味だが、社会学的には、高齢の親の面倒をみるのがいやで見放しても、毎日食事を作ってやっていると言い訳ができ、体面が保てる都合のよい居住範囲として引き合いに出される言葉である。
「スープの冷めない距離」という言葉の由来としては、イギリスの高齢者医学のレポートに用いられていた類似の表現を翻訳したものなど諸説あるが、イギリスやアメリカでこの言葉が一般的に用いられている形跡は見られず、「親は同居するのが理想」というタテマエが根強く残されている日本ならではの用語ではないかと思われる。(CAS)