カテゴリー:日本論、国民性、習慣、礼儀
1. 旅行先から持ち帰って家族や知人に渡す商品。それを購入する以前は旅行者に心理的負担を与え、購入後は物理的負担をもたらす品物である。
昔、日本の旅行者は、村や組織の代表として聖地などにお参りに出かけた。そのため、留守を守る人々に聖地の恵みを分け与える必要があり、そこから土産の習慣が生まれたといわれる。現在ではむしろ、自分たちだけ楽しい時間を過ごしたという負い目を解消するために土産が購入される。
2. 訪問先に持ってゆくプレゼント。「手土産」ともいう。これも1と同様、訪問先に負い目を感じている場合に購入される傾向がある。手土産を渡すと、今度は渡された相手が負い目を感じることになるので、置物のように負担感が継続するものは避けられ、2、3日ですぐに形がなくなる食品が重宝される。日本の鉄道駅周辺や百貨店内などで、ふだんわれわれが家で食べそうもないものを売っているのに不思議に繁昌している店は、ほとんどがこの手土産か毎年やりとりが行われる中元、歳暮の習慣により経営がなりたっている。(CAS)