サッカーとは、足や頭でボールを扱うといういらだたしさを、籠にボールを叩き込んで得点を一点もらうことで解消する遊び。結局最後までいらいらしたまま終わるケースも多いが、そのおかげでまた次のいらいらも体験したいという渇望にさいなまれる。
いらいらするのが嫌いでたったひとつの得点に集約される大きな喜びより小刻みな小さな喜びを欲する観客が多いアメリカでは、サッカーはメジャーなスポーツになりにくい。日本の観客にもややその傾向はあるが、日本では観賞する対象とは無関係に観客席で飲み食いを楽しむというお花見型の応援の伝統があるので、サッカーはそこそこの人気を保っている。しかし、飲み食いを楽しんでいる間に唯一の得点シーンを見逃してしまうケースが多発するのが難点ではある。(CAS)