老人力とは、前衛芸術家や作家である赤瀬川源平氏が提唱した価値観のひとつ。高齢化することにより陥る、もの忘れ、話のくどさ、体力低下、視力聴力低下などの弱点(と普通はとらえられる状態)を、逆に老人にしか獲得できない「力(能力)」と解釈して、その力を得ることによるメリットを指摘し、その状態を余裕をもって楽しむことを提案したもの。
この言葉が一般に流布したとき、「老人なのに聡明である」とか「老人なのに体力抜群」とか「老人が結集して事業をなしとげた」といった、まったく逆の「老人パワー」の意味あいで受け取られることも多く、おかげで、正しい解釈、誤った解釈含めて、赤瀬川氏のその他のマニアックなコンセプト「トマソン」「新解さん」などより、広く社会に受け入れられることになり、1998年の流行語大賞を受賞している。しかし、流行語になったおかげで寿命も短く、いまは死語になりつつある(もともと「老人」だったのだから寿命が短いのもしかたないか……)。(CAS)