夜を徹するとは、一晩中(つまり朝まで)ものごとを行うという意味。「夜を徹して議論を重ねた」などと用いる。要するに、一睡もせずに仕事などに没頭していたという姿勢をアピールするための言葉である。「徹夜する」も同じ意味だが、漢文のままさらりと表現するより、「夜を徹する」と訓読したほうがより強いアピールができる。しかし、「夜を徹してゲームを楽しんでいた」とはあまり言わないように、朝まで楽しいことに熱中するというニュアンスはなく、本来は昼間のうちに済ませておけばよいことがなかなか終わらないので、夜になってもひきずってしかたなく頑張ってしまったという、強い「労働感」「苦役感」がこの言葉にはあり、ほんとうはさっさと終わりにしてぱっと打ち上げにしたかったのに、という悔しささえにじませることができる。ゲームをしていて朝になったような場合は、「時の経つのも忘れてゲームを楽しんでいた」などと言うのがよい。(CAS)