ヤッホーとは、山頂に立った日本の登山者が、やまびこがちゃんと仕事をしているか試すために、周囲の山々に向かって張り上げるかけ声。
日本の登山の習慣がドイツから多大な影響を受けているように、この言葉も合図のために山で交わされるドイツ語のかけ声johoo(ヨーホー)から来ているのではないかといわれる。また、スイス民謡がもとになっている「おおブレネリ」の日本語の歌詞では、「ヤッホー、ホトラララ」というコーラスが聴けるが、日本人が山に登るとやみくもに「ヤッホー」といいたがるのは、1949年(昭和24年)頃に作られたこの歌の影響が大きいのではないかと考えられる。なお、英語圏の人々が喜んだり興奮したりするときに発するyahoo(ヤフー)という歓声は、「ヤッホー」と似ているが、こちらは「野蛮人」を意味するyahooと関連すると思われ、その原典はスウィフト作の『ガリバー旅行記(1726)』に登場する人間の姿をした獣である。したがって、日本語の「ヤッホー」とは直接関係なさそうだが、ロンドンの地名Sohoがハンティングのときに発するかけ声から来ている(ニューヨークのSohoはSouth of Houston Streetの略らしい)ように、あちらの人々は、野性的な大きな声を発するときHoとか、Yoとか、Waoとか言うようなので、ドイツ人のかけ声、おおブレネリ、ガリバー旅行記ひっくるめて、そのおおもとは同じようなところにあるのかもしれない。(CAS)
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