やけくそとは、切羽詰まってなげやりな行動をとってしまうような心の状態をいう。「やけ」は「自棄」と当てるが、もとは「焼け」。「くそ」は大便のことで、敵軍に城を囲まれ、自暴自棄になった殿様が自ら火をつけて自害するといったようなケースでは、たぶん「くそ」も「焼ける」だろうから、「やけくそ」は「焼けたうんこ」の意味としてもよさそうなものだが、そんなわけはなく、この場合の「くそ」は、「下手くそ」「胸くそが悪い」「くそおもしろくもない」などのように、前後の言葉を強調したり、強く卑しめたりする語だと普通は解釈される。「焼け」がなぜ「自棄(自分をかえりみず、大事にしないこと)」の意味になるのかについては諸説あるが、火事で焼けた銭を「焼け銭」「焼け」といい、悪貨として排斥されるのを「焼けになる」といったようなことが関係あるのではないかといわれる。火事にあったら、銭が使い物にならなくなるかいなかをとわず、誰でも自暴自棄になるだろうから、ことさら「焼け銭」にこだわらなくてもよいかと思われる。(CAS)