この辞典の使い方>「も」で始まる言葉>物の気、物の怪の意味、語源
カテゴリー:宗教、民間信仰、俗信
もののけ(物の気、物の怪)とは、幽霊、生き霊、妖怪、化け物などを漠然と示す日本語。「物の怪」と書くと、物や人が変身した化け物がイメージされ、いかにもそれらしいが、「怪」と書くのは当て字で、本来は「物の気」が正しい。古く日本には、言葉は人の生き死にを左右するような力を有するという信仰があり、幽霊や化け物に対して「おまえはお菊の幽霊だな」とか「あなた、もしかして雪女ではありませんか」などと尋ねようものなら、たちまちのうちに取り殺されると考えられていた。そこで、そんな災難を避けるために物や人を漠然と指し示す「もの(物、者)」という言葉を用い、それに煙やかすみのような存在を意味する「気(け)」を付けて、「化け物っぽいやつの気配」というような意味あいの「もののけ」というぼやけた言い方にしたというわけだ。よほどこわかったんだねと、同情の言葉のひとつもかけたくなるようなもってまわった言葉である。(CAS)