モラルハザードとは、直訳すると「道徳的な危険因子」という意味で、「自賠責保険に加入したから少しくらい人をはねても大丈夫」とか「成人病保険に入ったから今日から肉を食いまくるぞ」といった、保険などの加入者心理を要因とするリスク増大の問題をいう。また、莫大な契約金で雇われた企業の経営者が「会社に多少の損害を与えても俺はクビになればいいだけだから、ここはいっちょう大勝負に出るか」と考えるなど、雇われた側が雇った側の思惑とは異なった考えや行動を持つ傾向についてもいう。
学術的な用語をサルでもわかる大衆的な意味にすりかえてしまうことが得意な日本では、モラルハザードは単に「金儲け第一主義の経営者による不道徳な行動傾向」や「信用失墜事件を引き起こした従業員のやる気のなさ加減」といった程度の意味で用いられることが多い。(CAS)