虫とは、昆虫のほか、脚がいっぱいあってぞわぞわ歩くものや、やわらかくてぐにゃぐにゃしたものなど、分類するのがめんどうな、小さくてうじゃうじゃした動物をひっくるめて言う言葉。
現代の医者が病気が悪化する原因をなんでもストレスにおっかぶせるように、そのむかし日本では、様々な病気や精神現象を「虫」のせいにしていたようで、「疳の虫(子どもの病気の原因となる虫)」「虫が起こる(子どもが腹痛を起こす、泣き出す)」「腹の虫(機嫌を左右する虫)」「虫の居所が悪い(機嫌が悪い)」などと用いられた。もちろんいまでも「寄生虫」や「水虫」など、「虫」と言っても許せる範囲の小さくてうじゃうじゃしたものが、人間の体内で活躍している。
「むし」の語源には、虫が暖かくて湿気の多い場所、つまり「蒸し」た場所から発生するからだという『大言海』の冗談のような説がある。(CAS)