未来志向とは、過去にこだわらず未来を見てお互いの関係を築こうという意味で、要するに過去を水に流すこと、チャラにすることをいう。したがってこれは金を貸している方が言い出す言葉であって、金を借りている方が提案しても、「おまえが言うか」とかえってもめごとの種になる。しかしまた、金を貸している方が「未来志向で」と言い出したとしても、「過去を水に流してやった」という精神的な借りをつくろうとする意図がある場合が多いので、やはり借りた方の負い目は消えず、なにかともめごとの種になり、さらにまた、「未来志向で」と言われたからといって借りた方がきれいさっぱり過去を忘れようものなら、貸した方は「こちらの好意を無にしやがって」と怒り出すに決まっていて、たちまちもめごとの種になり、どっちにころんでも「未来志向」という関係が本当に築かれることはない。(CAS)