ままごと(飯ごと)とは、子どもたちが母親や父親に扮して、家庭での料理や食事のシーンを再現するロールプレイング的な遊びをいう。日本にまだ子どもの脳をかきみだすような遊び道具がなかったころ、主に女の子の間で流行した遊びで、当時の社会での女性の役割をシミュレーションしたバーチャルなゲームだといえる。一方、そのころ男の子は、チャンバラや野球など「狩り」や「戦争」を連想させる遊びに熱中しており、女の子が相手の心理を操る術を着々と磨いて大人になるのに対して、男は原始的な頭のまま成長していったのである。
「ままごと」は、「母親の行為」つまり「mamaごと」と解してもよさそうなものだが、本来は「食事(飯=まま)に関する行為」という意味で、当然のことながらmamaとは関係ない。
「ままごと」はまた、「幼稚なお遊び」を意味する慣用語として、年寄りが若いやつらの机上の空論的な仕事ぶりを評して「おまえのやっていることはままごとだ」などという。そんなとき若いやつは、攻撃的なだけでなんの計画性もない年寄りの仕事ぶりを評して「あんたのやっていることはチャンバラだ」と切り返したらどうかと思われる。(CAS)