カテゴリー:宗教、民間信仰、俗信
煩悩とは、人間の苦しみのもととなる精神の働きのことで、仏教では貪欲(とんよく:際限のない欲望)、瞋恚(しんい:怒り、憎しみの感情)、愚痴(ぐち:無知、おろかさ)を三毒(さんどく)煩悩といい、煩悩を捨てて静かな精神の境地を手に入れなさいと勧めている。煩悩はいわば気のおけない仲間たちの中にまぎれているやくざな友だちみたいなものであり、仏教の修行は、そのやくざな友だちを捨てるために真面目な友だちも全部捨ててしまうという過激な解決法である。しかし、そんな厳しい修行はムリ、というわれわれろくでなしのために、仏に帰依をちかって念仏や題目を一心にとなえれば救われるという、コンビニエンスな救済も提案しているところが仏教のよいところである。
日本では、年越しのカウントダウンの時間になると、方々の寺で108回鐘を打って煩悩を払うという儀式が行われるので、われわれは煩悩というものは108個あると安易に考えているが、実は甘っちょろい話で、ちゃんと数えれば煩悩は84000個あるという説もある。しかし、84000個もある煩悩を数え上げた仏教関係者こそ、煩悩(執着心)の固まりであると思うがいかがなものであろうか。(CAS)