ベッドとは、土足で歩き回っている小汚い床からなるべくはなれた高いところで、馬糞の臭いをかがずに安眠するために設けられた寝所。しかし、英語bedの語源は、地面に穴を掘ってそこで寝ていた習慣を表現した言葉であり、bedの意味として地層、苗床、川底など「底」のイメージがあるのはそのためである。一方、日本語の「寝床」は「寝るために高く設けられた場所」という意味で、本来は偉い人が寝るベッドのようなものを指していたが、畳にふとんを敷いて寝る習慣の定着により低い場所に下りてきた言葉であり、ベッドがいつの間にかお高くとまるようになったのとは逆。偉そうにしているものを卑俗化、大衆化する日本的な傾向がここにもうかがえる。(CAS)