ベクトルは数学用語で、大きさ(速度、力など)と向きをもつ量のことをいう。有向線分(矢印付きの線のこと)で図示され、線の長さで大きさを、矢印の指す方向で向きを表す。日常で用いられる「ベクトル」は、この図示された矢印の向きだけに注目し、「方向性」という意味で用いられる。たとえば、先生が生徒に「遊びのエネルギーのベクトルを勉強に向けなさい」などと言う。しかし、本来「ベクトル」はエネルギーの大きさも含むので、「遊びのベクトルの向きを勉強に向けなさい」と言わなければならないが、日常生活ではそんな細かいことはどうでもいい(言ったのが数学の先生であったとしても)。またビジネスの場でも、「コンセプトは間違っていないがベクトルが問題だ」などとかっこつけて使われるが、言った方も聞いている方も(聞いている方は特に)なんのことやらわかっていない場合が多い。(CAS)