二つ返事とは、人からの頼まれごとや指示を快く引き受ける態度を意味する。日本では、人からの頼まれごとや指示を承知するとき、「はい」と返事するが、それを「はい、はい」と二つ重ねたのが二つ返事。しかし、この二つ返事も、言い方により意味あいがかわってくる。勢いよく速くいえば快諾の意思になるが、ゆっくりとくたびれたように言えば、頼まれごとや指示にいやいや応えるおざなりの返事を表すことになり、つきはなしたように冷静に言えば、「わかったからもううるさく指示するな」という意思表示となる。近年では、二つ返事は後二者の意味あいで用いられることが多いので、「二つ返事=快諾」という定式も現実味の薄いものとなっている。
現代では、上司から命令を受けたようなときは、「はい」とひとつはっきりと返事するのがよいとされ、子どもにもそう教えられる。それでも、快く申し出を了承することを「一つ返事」と言わないのは、一つ返事はフツーの返事でもあるあからで、フツー以上に気持ちよく引き受ける意思を示すには、現実味がないとはいえ、やはり「二つ返事」が必要なのである。(CAS)
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