独り舞台(一人舞台)とは、役者がひとりで演じる演劇のこと。お金がないので仕方なくそうしているわけではなく(多少はその理由もあろうが)、演劇のジャンルのひとつであり、ひとりでも十分観客を満足させることができるという自信過剰な役者が挑戦しがちな分野であり、さらには、ヘボな脇役に分け前を取られたくないという強欲な役者の独擅場でもある。
また、慣用表現として、ひとりだけ活躍が目立つ舞台のこと、転じて、ひとりの働きが目立つことやひとりで思うままに振る舞うことという意味で日常でも用いられる。似た言葉に「独り相撲」があるが、こちらはひとりで頑張ったが結果がともなわなかった場合に、非難の意味をこめて用いるのに対して、「独り舞台」はひとりの活躍が目立つ場合に用い、「独り相撲」のような「空回り」的な意味は含まれない。それもそのはずで、大相撲を観戦に行って「独り相撲」をやられたら観客は「金かえせ」の大合唱となるが、「独り舞台」であれば、観客は狡猾なベテラン役者の演技にもののみごとにだまされてそこそこ成功で終わるのだろうから。(CAS)