火あぶり(火焙り、火炙り)とは、直火でローストする死刑のこと。もうすこしえげつなくない言い方で言えば「火刑(かけい)」である。豚や鶏でさえ殺してから火にかけるのに、生きた人間を丸焼きにするのはあまりに残酷であるため、現代ではほとんど行われていない処刑方法である。
火あぶりは西洋で魔女裁判の処刑に用いられたように、火による穢れたものの浄化という意味があったかと思われる。しかし本当に浄化すべきは処刑する側の人間であったので、焼いても焼いても魔女の容疑者は後を絶たなかった。また、江戸時代には応報刑罰に基づいて放火犯が火あぶりにされたが、その悲惨なありさまを見たり聞いたりした庶民に放火を思いとどまらせる(処刑された本人は死ぬ直前におおいに反省はするだろうが、再犯の心配はないので)意図もあったのだろう。(CAS)