ひととなり(人となり)とは、生まれつきの性質、本性という意味で、「もの静かなひととなり」「誠実なひととなり」などと用いる。言葉の響きのせいか、同じ生まれつきの性質でも「落ち着きのないひととなり」とか「がさつなひととなり」などのように、活動的であったりマイナスイメージである性質にはあまり用いられない。
『字訓』(白川静著)によると「ひととなり」は、「為人」という漢語を「人となる」と訓読したところから生まれた言葉らしいが、「人となる」では、妖怪人間が念願かなって普通の人間に生まれ変わったみたいであり、せいぜい「成長して大人になる」という意味しかもたない。漢語「為人」の意味は「人たること」「その人としてのありかた」であり、「ひととなり」はその「為人」を、どこのだれだか知らないが、あまり考えもなしに「人となる」と読み下してしまったところから生じた混乱なのだという。(注:もちろん、「妖怪人間」云々のくだりや、「どこのだれだか知らないが」というような発言は、『字訓』からの引用ではありません)(CAS)