B級映画とは、低予算で制作される出来の悪い娯楽映画をいう。そんなことを言うと、B級映画ファンの方々からは「B級映画でも芸術性の高い優れた作品はある」と文句が出そうだが、残念ながら、低予算で制作される映画のうち、ことのほか「出来が悪」く、芸術性が低くて「娯楽的」要素の強い映画をB級映画というジャンルにぶちこんでそう呼んでいるのであり、「B級映画」と呼ばれているかぎり、その成立条件である「出来の悪さ」や「芸術性の低さ」という汚名を返上することはできないのである。低予算でも、娯楽的要素が少なく、芸術性が高そうな雰囲気を漂わせている映画は「インディペンデント映画」などと呼ばれ、「おまえらとは違うぞ」といわんばかりの偉そうな顔をしている。インディペンデント映画もその大半は駄作であるが、B級映画のように「出来の悪さ」や「娯楽性」がその成立条件になっていないので、どんな駄作でもアーティストづらをしていられるのである。一方、予算を潤沢に使ったものの出来が悪くて大コケした娯楽映画は、その予算のかけ方から「B級」とは正面切って呼ばれないものの、多くの人がひそかに認める「心のB級映画」である。そういう意味で、一所懸命に笑わそうとしているが笑えない貧乏所帯のB級映画(なにせ貧乏なのでろくな監督、脚本家、役者が雇えないのだ)は、出来の悪い子供のような「愛すべき」映画だとは言えそうである。(CAS)