バーベキューとは、肉や野菜の直火焼き料理のこと。特に屋外で煙をもうもうとたちのぼらせて(煙がもうもうとたつから屋外でしかできないともいえるが)食材を焼きながら食べるワイルドな料理をいう場合が多い。語源は西インド諸島のアラワク語で「木製の枠組」を意味するbarbakoaで、直接的には、その言葉を持ち込んだスペイン系のアメリカ人が焼肉用鉄格子、また丸焼き料理の意味で用いていたbarbacoaに由来する。
日本でバーベキューは、アメリカンな料理と見なされており、住宅の庭が狭い都市部では近所迷惑でなかなか行えず、十分広い庭がある地方ではそんなアメリカンな趣味をもつ住人もいないので、主にキャンプ場や海岸で家族や仲間たちと開放感を楽しみながら行うパーティ料理である。
アメリカではバーベキューは、家庭のおやじがいいところを見せる料理として知られる。休日に家族を集め、ときに隣人や友人を呼んで、この日ばかりは奥方には手出し口出しをさせず、食材を切り分け、専用のかまどで焼いて食客をもてなし、おやじの威厳をみせつけるのである。「食材を切って(ときにはろくに切りもしないで)焼くだけなのにそんな偉そうな顔をせんでも……」という料理ではあるが、アメリカにはバーベキューの専門家もいて、彼の調合する秘伝のたれにより、ただ焼いただけの肉がえもいわれぬ高級料理に変身するのだという。
つまり、この料理から得られる教訓は「アメリカでうまいものを食べたければ、アメリカ人にはややこしい調理はさせるな」というものである。(CAS)