ハンバーグとは、ハンバーグ・ステーキの略で、「肉がほしい」とわめく子どもの口に詰め込んで、不平不満が噴出する穴をふさぐのに適した安価な充填剤。こんなものでも子どもは大喜びなので、長らく夕食や弁当のおかずの王者として君臨していたが、近年舌の肥えた子どもが増え、へたな冷凍食品では鼻で笑われる始末で、夕食や弁当のレシピにも頭を悩ませられる今日このごろである。
ハンバーグ・ステーキは、ドイツの都市ハンブルグ(hamburg)が発祥の地だといわれるが定かではない。ただ、その港から出航したドイツの移民がアメリカに持ち込んだ食べ物であることは確からしい。つまり、有田で焼かれた陶磁器が伊万里港から世界に輸出され「伊万里焼」と呼ばれたようなものであろう。普通のステーキも食えない貧乏人のためのハンバーグは、港湾都市として栄えたハンブルグより、国を出た(追い出された)ドイツ移民とそれを受け入れたアメリカ社会のチープさを象徴するのにふさわしいと感じられる。(CAS)