カテゴリー:ことわざ、故事成語、名言、名句
糠味噌(ぬかみそ)の桶に鉄クギを入れると風味がよくなるというが、「糠に釘」とはそんなうまいぬか漬けの作り方を教えるレシピではないし、そもそも「糠味噌に釘」とはいわない。「糠に釘」は「糠に釘を打ち込んだよう」ということ。「糠(ぬか)」は玄米などを精白するさいに排除される皮などのカスのことで、砕けて非常に細かい粉になっているため、堆積した糠にいくら釘を打ち込もうとしても手応えや利き目がないというのが、このことわざの主旨である。したがって「糠に釘」とは、いま、あなたの目の前で、あなたの説教を受けているバカ社員のありさまが、まさにそれ。
類似のことわざに「暖簾(のれん)に腕押し」があるが、「暖簾と腕相撲を取る」というあまりにシュールな設定であり、糠に釘を打とうとするヤツがいるかどうか疑問は残るものの、「糠に釘」のほうがまだイメージしやすい例えである。(CAS)