カテゴリー:ことわざ、故事成語、名言、名句
濡れ手で粟とは、濡れた手で粟粒をつかむように、苦労せずに多くの利益をあげることのたとえ。「濡れ手で粟のつかみ取り」を略したもの。「あわ」というと、バブル時代の「泡(あわ)」を連想させ、その時代の風潮を表現するのに言い得て妙であるが、こちらの「粟(あわ)」は雑穀の一種で、粒が細かいので濡れた手をつっこむと多量に手に付着する。「濡れ手で粟」は多くの商売人が描くビジネスのビジョンであるが、大半の庶民は粟に手をつっこむほどの努力もしたいとは思わず、宝くじを買って「棚からぼた餅」的に大金持ちになることを夢見るのである。
なお、「濡れ手で粟」とほぼ同じ意味の言葉に「一攫千金(いっかくせんきん)」があるが、いくらつかみ放題でも、「粟」なんかより「千金」のほうがはるかにうれしいことはいうまでもない。(CAS)