この辞典の使い方>「に」で始まる言葉>人間万事塞翁が馬の意味、由来
カテゴリー:ことわざ、故事成語、名言、名句
人間万事塞翁が馬とは、人生は、塞翁と呼ばれる老人が飼っていた馬の故事のように、不幸な出来事が実は幸運の要素をはらんでいることもあり、予測がつかないものだという格言で、中国の漢時代の選書『淮南子(えなんじ)』による。「塞翁が馬」というだけでも通じるほど有名な故事であるが、そのあらすじは次のごとし。北の要塞の近くに住んでいた占い師の老人、人呼んで塞翁(さいおう)は、可愛がっていた馬が逃げてしまい、近隣の人々に慰められても、「こんなのは災いではない」と悠然とかまえていた。するとある日、逃げた馬が駿馬を連れて帰って来た。人々はそれを祝すが、老人は「この幸いが災いに転じるに決まっている」と嘆く。不幸な予測は的中し、息子が落馬して足が不自由になってしまう。人々が慰めても老人は「このことが幸運を招くはずだ」と平然としている。するとこんどは、戦争が始まり、身体が不自由な息子は軍隊に招集されずにすんだ。つまり「人間万事塞翁が馬」とは、世の中はひねくれ者の老人の不愉快な予想通りに事態が進展するケースもあるという事実もふくめて、先に何がおこるかわからないのだから、目先のことに一喜一憂するなという教えである。(CAS)