海鼠(ナマコ)とは、棘皮動物門(ウニやヒトデの仲間)ナマコ綱の海洋生物。不気味な突起におおわれた芋虫のような見るからに気持ち悪い姿なので、食用としている国はほとんどないが、案の定、中国では食べられており、海産物に関しては中国にも負けない貪欲さをみせる日本でも古くから食されている。ただし、中国では乾燥したものをもどして料理に使うのに対して、日本では酢醤油などで生食するのが普通。ナマコは、古くは「子(こ)」と呼ばれていたようで、生で食卓に出されるから「ナマコ」というらしい。してみると、早い頃からナマコは生で食べる食べ物として日本人に認識されていたようである。
ナマコの中には、外敵に遭遇すると自身の内臓を肛門から排出し、敵がおのれのホルモンを賞味している間に逃走するという荒技を披露するものもあり、トカゲなどがシッポを切って逃げるのと同様の逃走手段かと思われるが、トカゲのように切って逃げる体の部分がなさそうなので、そんなグロテスクな方法を思いついたのであろう。みんないろいろなことを考えて必死に生きているのだ、という涙ぐましい習性である。(CAS)