泣きべそをかく(または、べそをかく)とは、泣きそうになってゆがんだ顔つきをするという意味で、主に子どもが「これから大声で泣きわめくので、いまのうちにおもちゃを買い与えたほうがいいですよ」と、親に注意喚起をうながすさいに用いる常套手段である。「べそ」は、「木の枝をへし折る」といったときの、強い力を加えるという意味の「へし(圧し)」から来ている言葉らしく、圧力を加えられて口がへの字の曲がる様子を表している。「かく」は、「汗をかく」「いびきをかく」のように、体内の好ましくないものを外に出すという意味があり、「後でほえづらをかくなよ」「あぐらをかく」などのようにあまり好ましくない表情や態度を出す(見せる、とる)という意味でも用いられる。「泣きべそをかく」も、いまは泣くのをがまんして顔をゆがめているものの、「このあいだ買ってあげたばかりでしょう」などという親のひとことで、即座に「泣きわめく」「床に寝転んで手足をばたばたさせる」「周囲の人々に向かって親の非道を責める」といった異常行動をとるぞという脅迫行為であり、親として非常事態に備えておく必要がある。(CAS)