カテゴリー:副詞、助詞、接頭語、接尾語
なかなか(中中)とは、両端ではない中間的な部分、あるいは中央、中心を意味する「なか(中)」を重ねた言葉で、best(最高)やworst(最低)ではないが、better(よりよい)やworse(より悪い)程度であることを言い表す際に用いる。
「なかなか」を「良い」「美しい」「難しい」などに用いる場合は、肯定的に「なかなかいい」「なかなか美しい」「なかなか難しい」などと、「文句なしに最高ではないが、自分の思っていたよりよい」といった感覚で使う。自分の描いた絵を「なかなかいいじゃない」などと誉められた場合、最高級の讃辞ではないので、あまり有頂天になるのはお勧めしないが、日本人は自分では最高によいと思っていても、一般的な価値がどうかわからない場合はべた褒めしないので、がっかりして自信をなくすには及ばない。
一方、「なかなか」を「進む」「行く」「運ぶ」など進行状況を表す言葉に用いる場合は、否定形で「交通渋滞で車がなかなか進まない」「計画がなかなかはかどらない」などと、「思っていたより進み方が遅い」といった感覚で使う。しかし、この「なかなか」も使用状況により振れ幅が大きいので、例えば「客の動員がなかなかうまくいかなくて…」などと店長から報告を受けた場合、スーパーバイザーのあなたは、「店にはぱらぱらとしか客が来ていないのだな」と考えるのではなく、「誰一人客が来ずがらがらである」と判断すべきである。(CAS)