当局の「当」は、この、その、いま話題にしているその、という意味の連体修飾語で、「局」は機関、部署という意味。したがって「当局」とは、いま話題にしているその任務を実行する立場にある部署、その出来事に責任のある機関ということ。要するに、事件や事故が起こると、言い訳や謝罪に出てくる人たちが所属している機関のことである。
また一方で「当局」は、「当局のお達しによりここは禁煙となっています」のように、話し手が「当局」が具体的に「どの局」であるのか知らない場合や、それどころかその責任の所在がいったいどこにあるのか誰にもわからないが、とにかく自分たちより強い権力を持った組織であることだけは間違いないとわかっている場合に、自分たちを支配している者たちが所属するその場所を漠然と指し示すという、いかにも日本的な用いられ方をする言葉でもある。(CAS)