どこの馬の骨とは、身元のはっきりしない者をさげすんでいう言葉で、「娘がどこの馬の骨とも知れない男を連れてきた」などと用いる。「馬の骨」は、「鶏肋(けいろく:ニワトリのろっ骨)」とともに、中国で役に立たない(けれども捨てがたい)ものの代表とされていたようで、役に立たないものというニュアンスが、身元のわからない怪しげなものに変化して、現在の「どこの馬の骨」という言葉が成り立ったらしい。しかし、中国や台湾のネットを見ると、漢方薬の材料として「馬骨」が挙げられており、してみると、「馬の骨」は必ずしも役に立たないものではなさそうである。もっとも漢方薬の材料となると、「ほんとうに馬の骨なのか」とか「ほんとうに病気に効くのか」といった、別の意味での「怪しさ」がにじみでて、「どこの馬の骨」の語源としてはそのほうがむしろ適しているといえないこともない。(CAS)