この辞典の使い方>「て」で始まる言葉>手打ち、手討ちの意味、語源、由来
カテゴリー:慣用語、擬声語、擬態語
1. ソバ屋の看板に掲げられた「手打ち」は、「機械製麺ではなく職人の手で麺を打って(作って)います」という意味。といっても、「貧乏で機械を買うことができない」と言いたいのではなく、「近所のスーパーで仕入れているわけではありません」という意味である。
2. 交渉ごとやもめごとで、両者の和解が成立した証しとして関係者が手を打ち鳴らす習慣があることから、「手打ち」は和解の成立そのものや和解のための儀式をいうようになった。中でも特に有名なのが、ヤクザな人々の勢力争いなどが解決した際の手打ちであり、そのおかげで「手打ち」というと、和解が成立して喜ばしいはずなのに、関係者一同苦虫を噛み潰したような表情でその場に臨んでいるものものしい集まりを連想させ、ひいては、解決は表面的なものでお互い腹に一物ある和解についていうことが多くなっている。
3. 江戸時代「手討ち」というと、武士が無礼をはたらいた町人などを斬り殺すことを意味する。自らの手で討つ(斬る)から「手討ち」というのだが、もちろん手で直接斬るのではなく、手で刀を抜き、刀で斬るのである。手討ちは武士が行う格調高い処罰であるから、いくら自分が斬り殺される側であっても「お手討ちばかりはご勘弁願いとうございます」などと「お」という丁寧語がつけられる言い方が普通である。(CAS)