超人とは、ドイツ語Übermenschの訳語で、哲学者フリードリッヒ・ニーチェが『ツァラトゥストラはかく語りき』の中で提唱した、権力や旧弊に迎合しない理想的な新人類を意味する用語。英語ではovermanまたはsupermanと訳されるので、いまどきの「チョーすげえ人」といったような言葉で置き換えてもさして問題ない用語であるように感じられる。一方でニーチェは、権力や旧弊に迎合して生きている多くの人々を「Herde畜群(動物・家畜の群れ)」と呼んで軽蔑した。ニーチェの本を読んでいるわれわれもまさに彼の言う「畜群」であるが、そんな「畜群」がニーチェの煽動的な言葉に浮かされて、気持ちだけは「超人」になって大きなことを言い出すという、いわばブルース・リー効果をもたらす感がいなめない威勢のよい概念である。(CAS)