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短歌とは、日本で二番目に短い定型詩。一番短い俳句では自分の言いたいことがとても伝えきれないと感じた人が選び、それでもなお短すぎることに気づかないで満足している詩型。もっとも、歴史としては短歌(古くは和歌、歌)の方が古いので、話としてはその逆、「もっと短くても言いたいことは言えるじゃん」と思って俳句が生まれたと考えるべきなのかもしれない。
5・7・5・7・7という音節からなる短歌では、その中で2つの完全な文を作ることが可能なので、原因〜結果、理由〜結論といった最低限の理論的な文章、すなわち相手を説得するための文章を作成できる。例えば、俵万智という歌人が作った『「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日』は『「この味がいいね」と君が言った』、だから『七月六日はサラダ記念日』なのだ、と「理由」+「結論」の構成からなる文章である。しかし、最低三つの文が必要な三段論法のような論理を展開する余裕はないので、難解な思想を伝えることはできない。
このような特徴から、短歌はあまり複雑な論理展開を必要としない男女間の意志の疎通(要するにくどき文句)に適した詩型であり、事実その昔、ラブレターとして使用されていた。(CAS)