カテゴリー:住文化、住環境、建築、インテリア、調度品
台所とは、料理をする部屋、あるいは料理をすると称して冷凍食品をチンしたり、レトルト食品を湯煎したりする部屋。
日本語である「台所(だいどころ)」は、平安時代の配膳用のテーブル「台盤(だいばん)」が置かれていたところ、というのが語源らしい。戦後日本では、台所(キッチン)と食事室(ダイニング)が一体化したダインニングキッチンが一般家庭に普及したが、食事室で食事せず、居間(リビング)に料理を運んでテレビを見ながら食事するという家庭が比較的多く、そんな家庭ではダイニングテーブルは料理や調味料を置く配膳テーブルと化しているので、「配膳用の台盤を置くところ」という「台所」の本来の意味は根強く残っているといえそうだ。
英語で台所を意味するkitchenは、フランス語のcuisineなどと同様、「調理」という意味のcookとの関連が指摘されており、これではただの「調理室」みたいで(調理室には違いないけれども)、語源としては面白みに欠ける。
日本語で「台所」を意味する言葉には、ほかに「厨(くりや)」「勝手(かって)」「厨房(ちゅうぼう)」「炊事場(すいじば)」などがあるが、「厨房」「炊事場」は中国語をほぼそのまま持ってきただけの語であり、どうやら日本人はその部屋を意地でも「調理するところ」とは呼びたくなかったようである。(これには、魚などを切り刻む料理という作業にケガレの考え方があったからかもしれない:学界の常識でなければ単なる私見です)(CAS)