カテゴリー:副詞、助詞、接頭語、接尾語
そんなとは、「そのよう」「そのように」「そのような」の口語的な言い方で、自分の近くで生じている事態や状況をさししめして、「そんなことはもう忘れてしまいなさい」「(あなたがいま話してくれた)そんな話聞いたことがない」などと用いる言葉。使用例を見てもわかるように、特に対話をしている場合の相手の状況や話について言う場合が多い。類似の表現に「こんな」があるが、「こんな」は「そんな」よりもっと自分に近いこと、自分自身に起こった事態や状況をさして「こんなことはもう忘れてしまいたい」「(自分がいま聞いているような)こんな話はもうたくさんだ」などと用いる。
「そんな」と「こんな」はわずかの違いのように見えるが、同じような使い方をしても意味が異なってくる場合がある。例えば「こんなにうれしいことはない」と「そんなにうれしいことはない」は「こんな」と「そんな」の違いでしかないが、前者は「最高にうれしい」という意味であるのに対して、後者は「たいしてうれしくない」という意味である。なぜなら、前者は自分の身に起こったうれしいことをさししめして「いままでの経験でこれ以上うれしいことはなかった」と言っているのに対して、後者は、相手が自分のことを「ものすごくうれしいだろう」と考えていることをさししめして、「そんな(あなたが考えているようには)にはうれしくない」と言っているからである。「そんな」と「こんな」には近いように見るが、「あなた」と「私」の現実的な関係くらいの大きなへだたりがあるのだ。(CAS)