接吻とは、キスのこと。「吻」は「唇」の意味で、「接吻」は唇を相手の唇やその他の身体のどこかに接触させる行為である。
接吻は明治時代にオランダ語のkus(英語のkissと同類)の訳語として中国語から借用したものといわれる。日本でもそれまで接吻と同様の行為はあったが、「口吸い」と呼ばれていた。これは「口で吸うこと」ではなく、「口を吸うこと」という意味、すなわち口と口で行うキスであり、西洋人のように日常的に子どもをなめるような行動をとらない日本では、性行為の前戯に限定されていた。キスの訳語である「接吻」にも「口吸い」の後ろめたさが濃厚に残されており、西洋人のものまねが板に付いてきた現代でも、鬱陶しがっている子どもに唇を押しつけたりする行為は「接吻」とはいわず「キス」と外来語ですませている。(CAS)