カテゴリー:宗教、民間信仰、俗信
千手観音とは、衆生を救済するための手を千本有する観音。ところがこの観音はただ手が千本あるだけではなく、それぞれの手に目が付いていて、困窮している衆生を探し出すといわれ、そのため千手千眼観音とも呼ばれる。さらに手ばかりではなく頭もいくつもついているのが普通で、九面や十一面などの他、千頭千手千眼という観音もあり、かなりエイリアンめいたお姿が想像される。
いかにも多くの民衆を救ってくれそうな千手観音像は各地にあるが、実際に千本の手を持つ(らしい:なにせ、直接自分で数えたわけではないので)観音は、唐招提寺、葛井寺(大阪)の像などわずかである。「めんどうなので省略しちゃいました」的な手の少ない観音像は、真面目に千本手を造ったものよりご利益が薄いような気にさせられるが、「千」はあくまで「非常に多いこと」「無数であること」の象徴であり、手の数で仏像のありがたさを判断してはならない。(それでも手が10本くらいしかない像は、タラバガニみたいで、ちょっと手抜きなんじゃないの、という気にはさせられるが)(CAS)