スベる(滑る)とは、なめらかな表面を物が思がけない速さで移動する状態を表現した動詞。つまり、摩擦力や抵抗力によってある地点に留まるはずだと私たちが判断したにもかかわらず、重力や慣性の法則にもとづいて物が移動してしまうことをいうわけで、必死こいて勉強したのだから大学は私を受け入れて留めてくれるはずだと思い込んでいたにもかかわらず、重力の法則にもとづいて「落ちて」しまうことを、「試験にスベる」という。
お笑い芸人の世界で、自分では面白いことを言ったつもりであるから、観客は大きな笑いで受け止めてくれるはずだと思い込んでいたにもかからわず、会場内がしらけた雰囲気に包まれたようなとき、しゃべりまくった勢いが慣性の法則によりとどまらず、滑って転んでしまうような心境になることを「スベる」という。しかし、このようなお笑いがしっかり決まった状態を、観客が高いところから落下したような快感を味わうところから、「オチる」と表現するので、受けるか受けないかの差は紙一重だということができる。(CAS)