杜撰(ずさん)とは、やりかたが手抜きでアバウトであるさまをいう。危険物を取り扱う仕事などで事故が発生すると、その原因について「杜撰な管理が事故を引き起こした」などと指摘される。しかし、私に言わせれば「ずさん」は、普通の人の日常のやり方であり、決められたとおり真面目にきちんとやっている人は、普段は「四角四面」とか「病的な几帳面さ」などと変人扱いされるものである。
杜撰の「杜」は人の名前、「撰」は詩文を作ったり編集したりすることをいう。「杜」については、宋代の詩人杜黙(ともく)ではないかとする説が有力で、彼が音律の合わない詩を多数作ったところから「杜撰」という言葉が生まれたという。「杜」については他の人物ではないかとする説もあるが、「杜撰」な解説が持ち味の当辞典では、このあたりで切り上げておく。(CAS)