スリ(掏摸)とは、他人の持ち物をその人に気づかれないように拝借する技術、また、その技術を身につけた職人を意味する俗語である。スリの技術は多様だが、人混みで身体をすりよせて盗み取るという基礎技能から、「スリ」と呼ばれるようになったといわれる。
スリは高等技術であるため、盗っ人仲間からも一目置かれる存在であり、本人もその気になって「山手線のサブ」などと芸名を名乗っている場合もある。高座でスリをばかにした落語家が、帰宅の電車に乗っている間に、懐中時計の中身だけすりとられたという話は、ひとむかしまえのスリの矜恃を示すエピソードとして知られているが、どこまで本当なのかはよくわからない。(CAS)