カテゴリー:文学、出版、メディア
詩人とは、一文字あたりの単価が異常に高い貴重な言葉をあやつるアーティスト。これで詩集が通常の書籍並みに売れればこんな楽な商売はないが、世の中そううまくはいかず、一タイトルあたりの書籍の販売量が異常に少ない貧乏なアーティストとしてもよく知られている。庶民があまりに芸術的感性が低いので、近代以降の詩人はやけくそになって、業界人にしかわからない隠語をふりまわして、ますます自身の首を絞めている。
一方、陳腐な言葉を月並みな表現であやつり、流行歌に詩を提供する「作詞家」と呼ばれる人々は、音楽の力ともあいまってしばしば一攫千金をつかむことがあり、詩人たちの嫉妬を買っている(流行歌すれすれの陳腐な詩でうまいこと大衆に取り入っている詩人もいるが)。だからといって、こうした高尚な詩人たちが、流行歌の程度の低い歌詞を書けるかというと、世の中そううまくはいかず、ますます世間から遠ざかっていく詩人たちの仙人化が進んでいる。(CAS)