カテゴリー:宗教、民間信仰、俗信
注連縄(標縄)とは、神社でよく見かけるワラなどを綯(な)った大きな縄のことで、俗世間と神域とを隔てる結界を表しているという。正月には、家庭でもこの注連縄のミニチュア版を飾って、「本日わが家は神聖につき、悪魔のみなさまは立ち入りをご遠慮ください」という意思を示している。
注連縄の「しめ」は、縄を強く巻くという意味の「締める」ではなく、ある場所を占有するという意味の「占める」である。実際、神社などの注連縄はただぶらさがっているだけで、どこかをきつく「締め」ているわけではないので、「占め縄」で間違いないのだろうが、そんな縄が一本ぶらさがっているだけでは、空き巣など入り放題である。しかし神社では、注連縄はスピリチュアルな悪いやつらの侵入を専門に防いでいるのであり、実体のある悪いやつらにはしっかり防犯対策を施しているので、心配には及ばない。
ところで、相撲の横綱は注連縄とおぼしき綱を腰に巻いているが、これは「注連縄」とは呼ばず、その地位名ともなっている「横綱」という。この縄もそれほど強く締めている印象はないので(フラダンスの腰ミノくらいか?)、やはり横綱を神聖視する「占める縄」すなわち「注連縄」と考えてよいのであろう。それをなぜ「よこづな」と呼ぶようになったのかはよくわからない(横に巻いた綱だから、深く穿鑿する必要もないのだろうが…)。(CAS)