死に体とは、死んでいる状態の体というような意味の相撲用語で、取り組み中、あなたが途中から片方の力士とバトンタッチしたとしても、もうゼッタイ勝てるような相手の体勢をいう。つまり、投げをかけられたかなにかして体が水平に宙を舞い、ただ相手にしがみついているだけといった状態であり、あなたが土俵に落ちかけている巨体の力士にしがみつかれるというような状況をいやがりさえしなければ、勝負には必ず勝つことができる。「死に体」は「死体」と字面ではちょっとの違いだが、「死体」は「死者の身体」のことであり、まったく意味が違うので使用にあたっては注意が必要である。もっとも、「死に体」でも「死体」でも、相撲を取ったら勝てるという点では共通しているが……。
「死に体」は任期切れ間近で影響力を失った政治家などを表す慣用語としても用いられる。これも「死体」と混用しないよう注意が必要である。しかし政治家においては、「死体」になったほうが、「死に体」よりは政治的影響力が強いようである。(CAS)