ジョークとは、冗談、悪ふざけ、笑い話といった意味で、西欧人(主に英米人)の会話における基本技術かつ「縛り」。
西欧人によると、東洋人は一般的にジョークを解さない傾向があるようだが、東洋人が笑わないのは西欧人の冗談が自慢するほどおもしろくないからである。そもそもこの種の冗談話は、仲間内だけに通じる楽屋オチ的な要素が強く、異民族相手にはなかなか通じ合えない。また、ジョークはコミュニケーションを強める手段として使われているので、寒くなるような「おやじジョーク」でも、それを聞いた人々はあいそ笑いを返すという暗黙の了解があり、部外者はなおさら笑う義理はないのである。
江戸時代末期に日本を訪れたフランスの海軍士官は、日本ではいかめしい態度の武士もうちとけた酒宴の場などでははめをはずすくらいであり、なおのこと庶民は寄り集まると「口々から冗談が飛び交い、悪意のないからかいが始まる」と書いており、日本人が昔から「冗談の通じないヤツら」でなかったことがわかる。この海軍士官は日本人の冗談話には笑えなかったと思われるが、異邦人にとってジョークとはそのようなものなのである。(CAS)