五月雨(さみだれ、さつきあめ)とは、日本語では「皐月(サツキ:五月のこと)」に降る「雨(ミダレ:水垂れ)」という意味で、陰暦五月に降る雨をいう。当て字である漢字の字面からは新暦の五月頃に降るさわやかな緑雨、あるいは「五月雨式(さみだれしき)」という慣用句の印象から、継続的に降る小雨を連想させるが、旧暦五月は現在の六月頃にあたるので、五月雨はなんのことはないじめじめとうっとうしい梅雨であり、さらに「五月雨を集めてあつめてはやし最上川」(芭蕉)、「五月雨や大河を前に家二軒」(蕪村)という名句からも知れるように、長々と大量に降る雨でもある。五月雨は俳句の代表的な夏の季語であるが、字面にだまされて、現代の五月のすがすがしさや、ぱらぱらと小刻みに降る春の雨のような句を作っていては、遠い時代の風物に詳しい年寄り連中に嘲笑されるだけであるから、要注意である。(CAS)