カテゴリー:住文化、住環境、建築、インテリア、調度品
炬燵(こたつ)とは、電熱器付きの四角いテーブル(やぐら)をふとんで覆った日本独特の暖房器具。腰から下を暖房して上半身は寒いにまかせるという、東洋医学の鉄則である「頭寒足熱」を地でいった健康器具であり、暖房費の節約にもなることから日本人の「もったいない」精神を体現した省エネ家電でもある。
南方系の家づくりに影響されているせいか、日本の伝統的な家は夏の暑さ対策を重視して設計されたため、冬はすきま風が吹き抜ける寒々しい場所となる。そんな風通しのよい家で部屋全体を暖房するのはムダと考えたのか日本人は、陶器製の大きな容器に炭を入れた火鉢(ひばち)とか、部屋の中央を堀抜いて細々と火を焚いた囲炉裏(いろり)、そしてこのこたつなど、局所的な暖房で寒さをしのぐ習慣を身につけている。西欧風の建築工法が取りいれられ、断熱性の高い住宅ができるようになった現在でも、部屋を暖房せずにこたつですませている家庭は多い。おかげで、冬季は零下三十度があたりまえというロシアのシベリア地方から来た人が、「日本は寒い、家の中が信じられないくらい寒い」と嘆くしまつである。(CAS)