国民年金とは、自力ではなかなか生活費を稼ぐことができなくなったその国の国民が毎年一定の金額を給付される制度のことで、政府主催の互助会のような制度だといえる。
日本の国民年金には、老齢・障害・死亡に関して給付があるが、中でも運営が難しくなっているのが老齢年金である。なぜなら、長寿化のおかげでなかなか死なない年寄りが増え、そんな中で身内の年寄りが死んでも年金をもらい続けてようとする不届き者が増え、一方、少子化のおかげで年金制度を支えるべき子どもの頭数がどんどん減り、さらに加えて将来的に見込のない年金制度に愛想を尽かして年寄りを支えたくない若い連中が増え、といった、年金制度発足当時はのんきに考えていた悪夢のような想定が現実になろうとしているからである。
このままでは制度の破綻が目に見えている行政当局では、政府主催のその種のお仕着せ制度に抵抗が強く自助努力を重んじる(つまり、そんな制度を作っても協力する奴がいない)アメリカの助けを借りて、国民年金制度をなくし、厳しい制度運営の重圧から逃れたいと願っているふしも見られる。(CAS)