フィンセント・ファン・ゴッホ(Vincent van Gogh)1853-1890。オランダ出身の後期印象派(ポスト印象派)の画家。印象派が封印した絵画の表現主義的な傾向を復活させ、内面の不安や憤りを、補色のコントラストを多用した色彩や激しいタッチ(筆跡)、対象のデフォルメ(変形)によりキャンバスに表出した。
後期印象派の画家は、「傲慢」や「偏屈」な性格のアクの強い人物がそろっているが、中でもゴッホは「真面目でいい人」ではあるものの、「頑固で融通が効かず」、「空気が読めない」うえに、「感情が高ぶったら手に負えない」という、最も友だちになれそうもない人物である。しかし、その絵画は小難しい理屈をこねなくても直感的にわかりやすく、その生涯は波乱に富み(恋愛関係の浮いた話がないのが玉にきずで、お顔もあまり美しいとはいえず女性人気はいまいち)、さらに日本の浮世絵の大ファンであった(日本の気候などについてだいぶ誤解してはいたようだが)ことから、日本での人気は絶大なものがある。(CAS)