けじめを付けるとは、過失や失敗の責任を取るという意味で、わかりやすいのが、失政の責任を取って政治家が辞職するといった例である。犯罪者が刑を宣告されるのも責任を取ることには違いないが、「けじめを付ける」のはあくまで自発的に責任を取ることをいう。そのため「議員を辞めたくらいでけじめを付けたつもりかい」とつっこみを入れられるような、アマアマなけじめの付け方をする場合が多い。
「けじめ(けぢめ)」は、伊勢物語や源氏物語にも見られる言葉で、はっきりした区別、季節などの変化の境目、隔てなどを意味していた。したがって「けじめを付ける」も、「はっきり目に見える形で責任を取る」という点が要であり、「私の心の中ではけじめを付けています」などというのはけじめを付けたうちには入らないのである。
なお、「けじめ(けぢめ)」という語源については、囲碁の用語「結(けち:駄目を押すの駄目と同じ意味)」からとも、漢語「掲焉(けちえん:くっきり際立つという意味)」からとも、「分目(わかちめ)」からともいわれ、けじめが付いてはいないようである。(CAS)