カテゴリー:日本論、国民性、習慣、礼儀
義理とは、従わなくても罪には問われないが、従わなかった場合、社会生活に支障が生じる程度の社会のオキテのこと。対人関係において、恩恵を被った相手に具体的なサービスや物を提供して感謝の気持ちを表すことを「義理を返す」と言い、恩恵を被った相手に義理を返せず頭が上がらない状況を「あの人には義理があるから」と説明する。
日本人が義理を返すの返さないのと言っている姿を見て、ルース・ベネディクトは「義理のやりとりは金銭の貸借に似ている」と指摘しており、「義理を返す」場合は、受けた恩恵と同じ程度のサービスや物で返済すればよいが、時間が経過した場合は金銭の貸借同様利子がつくので、より手厚い返済をしなければ精神的負担から開放されないという。
このように「義理」には、「そんなオキテに縛られたくないというのがホンネだが、しかたなく従っている」という気持ちが隠されている。結婚により親子関係や兄弟関係が生じた人を「義理の親」「義理の兄弟」と言うが、それらも多分に「しかたなくつきあってやっている親、兄弟」という意味が含まれている。(CAS)